2008年6〜7月 Alaska Ruth Gorge Alpine Rock Climbing その1(6/19〜7/13)


今回のアラスカは台湾経由のアンカレッジ直行便。アメリカ本土経由より乗り継ぎ待ちが少なく安い。関空発というのがちとつらい。アンカレッジに着くとすくレンタカーを借りて買出し。もちろんポテチ&クッキー&コーラも。はやくもジャンク生活開始。そして夕方タルキートナ行きの乗り合いバスに乗る。この車にはデナリへガイド登山で登るクライアント数名とアルパイン・アッセントのガイドが乗っていた。彼らはタルキートナにあるクライアント用のロッジやガイド用のロッジに泊まる。うらやましい。此方はTATのバンクハウス(登山者用の小屋)だ。しかしTATのデナリシーズはもう終盤でガラガラ。バンクハウスでハンチントンから帰ってきたカリフォルニアの2人のクライマーと話す。1人の奥さんは日本人だそうで、フレンドリー。なおかつ風貌が日本の友人に似ていて違和感なく話が弾む。ハンチントンのハーバードルートに2回目のトライで悪天の為敗退したとのこと。このルートは5月が適時だと思ったが、この時期でも可能らいい。次のリストに載せておこう。


翌日幸運にも天気はまあいい。日本を出て翌日にはルースゴージュへ入れるなんて、ん〜完璧だ。写真はセスナから見たルースゴージュ。左右に1000mを軽く越す壁だらけ。興奮

幸運にもル−スゴージュのど真ん中に下ろしてもらえた。本来ならクレバスがあいていて無理なはずなのだが。ということは今年は雪が多いか寒いかだ。なんとなく雪が多い気がする。クライマーは誰もいなく、セスナが飛び去ってしまうと、なにも通信機器を持っていない我々は途絶した世界に取り残された感じ。一瞬寂しさを覚えるか、すぐこの人のいなさが気に入ってしまった。


丁度セスナから降りたとこ。

写真中央にある赤茶の岩がスタンプといい、ここの基部が今回のベースとなるスタンプキャンプ。標高1400m。ここに行くまでに恐ろしいクレバス帯の通過がある。見える壁はでかいので、目の前に見えても1時間半以上かかった。
テント設営後近くのBase Of Wisdomというエリアへショートルートのクライミングに出かける。5.10のクラックを2本上り満足。岩は山奥なのでざらざらしてたり大きなブロックが浮いていたりしてすり、1ピッチも60m目一杯ある。なかなかワイルドという印象。それにしても順調すぎる。天気もいいし、これではあっという間に予定ルートが終わってしまうなと思ったが・・・・・・・。甘かった。

Base Of Wisdomのショートルート。トポもなく、いけそうな感じのところを登るのでグレードが不明なので毎回慎重に登る。大体終了点らしきテラスに着くと懸垂の支点用のスリングが岩角にかかっている。皆痛んでいるので、毎回捨て縄を追加した。


2日目はまずか肩慣らしの予定でスタンプという岩のGoldFinger(12P、5.11a)に行く。ルースのクライミングの特徴のひとつは、取り付きが急な雪壁になっていたりシュルンとが空いてたりして取り付きが厄介だ。まずできるだけ取り付きの近くまでいってシャベルで小さなテラスを作り、そこにシートをひいて、クライミングシューズに履き替える。ほとんどの場合、数歩はクライミングシューズで急な雪壁を登ってから取り付くので、靴が毎回濡れる。
さて1ピッチ目をのぼり始めるが、そこは山のルート、小石がスタンスにたまっていたり、濡れていたりと慎重さが必要。結構登ったなと思ったらまだ30mしか登ってなかった。日本ならビレイ点を作ってるな。南から黒い雲がきたと思ったら、急に雨。カムでロワーダウンして中止。



夕方晴れるとバリルの奥にデナリが見えるすばらしい景色だ。こんな景色がテントから見えるなんて。


やはりアラスカの天気は不安定。まだ天気のパタンが読めず、2日なので余裕。
後ろは右からブラッドリー、ウエイク、ジョンソンとどれも1000m以上の壁だ。


テントの中はこんな感じ。今回ゴム手袋が重宝した、やはり長靴ももってくればよかった。


3日も一応雲が多いが登れそう。用意して取り付前で雨が降り敗退。4日目も同じ天気で今度は4ピッチ登ると雨で下降。ちょっとこのパタンならヤバイと思い始める。それにしても各ピッチが60mと長いのでリード&フォローで1ピッチ1時間かかってしまう。我々は決して遅いほうではないし、むしろ私は早いほうだと思っているのにどういうことだ。岩がところどころ濡れている、不安定なので慎重さが必要だし、ピッチがほとんど60m目一杯なので時間がかかるよういだ。行く前のトレーニングで湯川は各々12ピッチリードしたのが、あれは各ピッチが短すぎる。4本〜5本でここの1ピッチ程度という感じ。


恐ろしいことに5日、6日目と雨から雪に変わり停滞。こうなるとすることは読書と食事。本は1日1冊は楽勝。やばいこのペースで読むと足りなくなる。これは夕飯のチャーハンと卵スープ。


これは朝のお茶漬け。今回の食事は無洗米を日本から持っていき、1回に2日分炊いている。これは大正解。ただMSRだと火力調整ができないので、煮込む料理は全てすぐ沸騰してしまい難しい。しかしそこはテクを使いおいしくできるようになる。


壁が真っ白になってしまい、これじゃ晴れてもすぐには登れない。明日は散歩とショートルートと決める。

これは2日続いた嵐がやっと回復するところ


まず午前中は2時間ほどのところにあるエルキャップクラスのEye tooth(写真)という岩をチェックしに行く。これがまた超格好いい壁なのでこれは絶対登ろうと決心する。そして午後は物干しとショートルート登攀。


これはカレー。おいしそうでしょ。

多少天気は読めた。晴れずに雲が多くても寒いだけであまり問題なく、南から黒い雲がくるとすぐ雨。北風が吹くと天気はいい。夜冷えると翌日はいい天気。今日の夜冷えてきて、風がある。明日はいい天気だ、行くぞ。

左に岩がスタンプ。上が詰まって見えるがかなりでかいです。取り付きの部分もすぐに見えるが、20分以上かかるかな。

今日こそGoldFinger(12P、5.11a)をのぼるぞと朝から気合を入れるが今朝は冷えずぎ。水も凍っている。あまりに寒く、やはりアラスカ時間の11時取り付きだな。日が当たれば暑いのだ。今日こそ雨が降らないでと祈り登る。しかしあるピッチなんぞは60mでも届かないのだ。そして9ピッチ目は核心の5.11aのピッチ。垂直のレイバックからルーフ越え。高度感もありちょっと恐ろしげ。しかし行ってみると意外とスタンスがあり無事リード。フォローもザックあり、トラバースありで厳しいかなとおもったが問題なくフリー。ようしあと3ピッチだ行けるぞ。そして取り付きから10時間後に頂上。リード&フォーロもフリーだ。。不安定な天気でここさえも危ぶまれたからかなり嬉しい。しかし予想以上に奮闘的だった。たったの12ピッチだが、きっと日本だと2倍〜3倍のピッチ数になってっるなあ。白夜なので多少明るいが10時なので寒い。岩陰は氷が詰まっている。さて下降も慎重にしなければ、花崗岩はすぐ岩にロウプがひっかかる。しかしラッペルステーションは素晴らしい。ハーケンやチョック、岩角にスリングとたくみに作ってある。ボルトは一箇所のみ。ところどころスリングで補強して無事下降終了。最近日本も山ではラッペルステーションにボルトをがんがん打っているが、なんか変に感じた。ラッペルはロウプが引っかからない直線的な箇所につくり、もしルート上を下降しなければ、ビレイ点なぞ必要ないだろう。事実ルースのほとんどが、下降点でない箇所はなにも残置がない。自分で支点を作成し、回収すればいいだけだ。そして懸垂下降は理想的なラインを考えながら作りそこに確実な支点を作ればいいのだ。日本も谷川や錫杖はこうすればもっとルートが綺麗になるはずだ。無事12時前にはテントに帰りコーヒーを紅茶をがぶ飲み。


Goldfinger 1ピッチ目。5.8とあるが10aはあるな。

心の11aのレイバックからルーフ越え。

その2へつづく