Ray Jadineについて
かなりマニアックな話 - フレンズの歴史・開発を追加
-フリークライミングの発祥の一つであるアメリカ・ ヨセミテ渓谷での話-
-オールドクライマーには非常に興味深い話 - Ray Jardineという人について-
Ray Jardine は 1970年から1981年の間Yosemite渓谷にすみ、当時の世界最難度、最難ルートを何本も初登したクライマー。彼の功績は1970年代ヨセミテにて何本もの5.12の初登、1977年には世界初5.13 Phenixを 初登し、この時代のトップクライマーの1人でした。彼は
・当時世界最難度ルートの初登
・ハングドッギングの発明
・ルートの完登スタイルの定義
・フレンズの発明
・トレーニングの必要性
・ホールドのチズリング、グルーイング
とあまりに斬新かつ先進的でした。概念が時代の20年以上も進んでいていました。従って当時のクライマーにはあまり受け入れられていませんでした。しかし現代クライミングの元をすでに形成してのですね。そんな彼のことについてすこし書いてみましょう。
■ ハングドッグ
当時のフリークライミングとは、墜落したら、下まで降ろして貰い、同じ人、または違う人がまたそのままの状態(すなわち最終プロテクションからトップロープ状態)で登り、また落ちたらその繰り返しで完登するというものでした。これをヨーヨースタイルと言ってました。ルートが難しい場合、数日間ロープをそのままにして置くこともありました。こちらはシージングと言います。当時の他のクライマーに言わせるとレイのやり方(ハングドッグ)はフェアじゃないと言われていましたが、逆に彼に言わせるとヨーヨースタイルは、最終プロテクションまでトップロープ、数人でプロテクションをのばす、数日間かける。ということで逆にフェアではないと言っています。この方法(ロワーダウン)を使えば、彼が作った高難度(5.12~5.13)ルートはどれも楽に登れたと言っています。
彼レイに言わせると、ルートは下から上まで1人の人間が墜落せずに登ることだったのです。
そうして出来たのがハングドッグです。説明すると 「working on a route」 といいますが、現在では「hangdogging」と言われています。これは彼が、1979年に「Hangdog Flyer 5.12c」(*1)を登った時にこのテクニックを使い、ルート名からハングドックと名付けられたと言われていますが、実は違います。彼が最初にこの「working on a route」を試したルートは、1976年に彼が登ったCrimson Cringe(5.12)というルートだったのです。従って本来なら「hangdogging」 ではなくて「Crimson Cringe-ing」と呼ばれるべきだったと彼は後に言っています。(「Crimson Cringe-ing」の意味を調べれば納得します)
ちなみに彼はどちらのルートもフレンズを使用して初登していますが、Ron KaukやJohn Bacherはフレンドを使用しないで、すなわち、チョック、ヘキセントリック、フィックドピンを使用して登っています。これもまたスゴイことです。
*1上を向いたストレイニアスなレイバッグで、まさにHangdog Flyerという姿です。一応私もHangdog Flyer(5.12c)、Crimson Cringe(5.12a)や他何本も登っています。
■ トレーニング (20080519追加)
レイはジムナスチックなトレーニングの必要性も説きました。当時の他のクライマーはトレーニングはボルダリングをすることで代用していました。がつがつトレーニングしないで、ふらっと登りにいって、さくっと登ってくるというの格好いスタイルと見られていたそうです。たしか当時ってヒッピーやサイケの時代だよね。そんな雰囲気があったのでしょうか。しかし彼は違い、ハイウエイの下にあるコンクリートでできたクラックで十分だと。そこでレイバックを延々と行い、ジャミングでまず1番目の筋肉が疲れたら、次はレイバックをしてその筋肉を休め、2番目の筋肉を使う、と。科学的な研究をしてました。元々彼は宇宙関連のエンジニアだったそうです。Phenix (5.13a)はそのトレーニングの成果だということです。
少しあとの時代になりますが、同じくトレーニング大好きクライマー、トニー・ヤニロも同様にすさまじいトレーニングを行って、多くの高難度ルートや、当時の世界最難度ルートを初登したのですが、同じ理由で(「彼はトレーニングをやったから登れた」、「力だけだ」とか言われた)いまいち評価が低かったです。ヤニロはトレーニングマニアでトライ中のルートの核心のムーブ近辺のホールドの型を取り、人工壁に同じムーブを再現しトレーニングしていたらし。ちなみ日本のあるクライマーのトライ中のルートの写真を撮り、机の前において意識を高めていたが評価されなかった。でもこれって実は結構いいかも。
■フレンズの歴史・開発 (20080519追加)
先にも述べた様にレイがフレンズを発明しました。
1972年のモデルはカムは4枚あったけど、それを引くバーがなく、両手でセットしなくてはならないものでした。その写真を見たのですが確かにバーがありません。
1974年に今の原型となるものができ、試しにヨセミテのハードルートを登りました。この時バーは付いていたけど、バーを引いたままにできるスロットが付いていました。
フレンズの名前の由来は、レイとフレンズを知っている友人2名と、他のクライマーとでクライミングに行った時、他のクライマーにばれない様にとっさに言った、"おいあの友人のバッグ持ってきた?"が由来だそうです。
ちなみにその後イギリスだっけなあ"アミーゴ"(スペイン語で友達)というのも開発されました。別にも書いたけどキャメッロトの意味はCam a lot(カムが沢山)です。
つづくかな・・・・・・
とまあこんなスゴイ人ですが、今はどうしてるかって? ヨセミテを離れた後、ヨットやカヌーをして旅をしていたようですが、今はバックパッキングの分野でもなにかスゴイみたい。www.rayjardine.com というサイトに色々載っています。なんと昔のヨセミテの記録や雑誌の記事も載っています。
(参考文献 the cam book by WILD COUNTRY)
グレーディングシステムについて
デシマルシステム
日本のフリークライミングの概念は、アメリカ、ヨセミテでのフリークライミングからの影響が多大です。
(このフリークライミングの歴史について知りたい人はガメラ菊池の著書「我々はいかにして岩を・・・・・・」(東京新聞出版)を読めばよく分かります。私もチラッと出て来るんですが・・・・・)
従来日本はⅠ~Ⅵ級というものをクライミンググレードをして使用していましたが、フリークライミングが盛り上がり、それでは表現しづらいということで、ヨセミテ帰りのクライマー達が、日本で自分の登ったルートにデシマルグレードをつけたのが、現在に至ります。自然と広まり確立してきたものです。
従って当時それ迄の限界グレードであったⅥ+位以上になるとデシマルでつけられているという混在型になってしまいました。一時期これでは混乱するということで、ある人達がもう一度すべて級に直そうという動きがありましたが、やはり無理でした。
■ アメリカのクライミンググレードシステム
1937年頃に、ある元になるシステムを修正して紹介され、1950年にクラス5にデシマル(Yosemite Decimal System)(*1)が追加されました。これは技術と肉体的困難さを考慮されたものでした。クラスを説明すると。
Class1:ハイキング
Class2:時々手を使った簡単な登りがある。
Class3:ロープを使って簡単な登りがある。
Class4:簡単なクライミング。たまに危険な場所があり。しばしばロープが使用され、プロテクションはナチュラルプロテクションが容易に使用できる。このクラスでの墜落は命にかかわることがある。
Class5:いわゆるロッククライミングである。ロープを使用し、ナチュラルプロテクションや人工的なプロテクションをリード時に使用する。
そしてこのclass5に1960年には5.0~5.9までは追加されました。勿論上限は5.9(closed-end)でこの頃のクライミングレベルでは十分だったのです。しかし1960年以降クライミングレベルが上がり、これでは足りず上限無し(open-end)のシステムが必要になり、次は5.10~というようにYDSが追加されました。また各レベルにはa,b,c,dという細かい分類も追加されました。(例 5.12a)。時々、"+"や"-"という記号もつけられます。
"+"はそのグレードとして十分な厳しさがあり、"-"はそのグレードレベルとしてはほんの数ムーブしかない、と言う意味でした。(例5.10+,5.11-)
しかしながら今日本ではこの"-"~"+"は違う意味で使用されていて、明確にグレーディングできない時に使用されていることが多いです。"-"はa~b、" "(なし)はb~c、"+"はc~dです。
またこのYDSは先にも述べたよう、技術、肉体的困難さについてレイティングされています。従って、プロテクションのセットが困難、ランナウするといった危険性は考慮されていません。1980年にJames Erickson(*2) という人が "seriouness rating" を紹介しました。
PG-13:薬の名前ではありません。プロテクションが十分取れ、正しくセットすればロングフォールはしない。普通ですね。だからこの付記はまず見ません。
R:プロテクションが取づらく、ロングフォールする可能性がある。リーダーが墜落したら、怪我の可能性がある。
X:プロテクションが取づらい、または取れない。墜落は長く、危険な結果になる。
日本にこのようなルートはほんの数本しかありません。
*1:デシマルとは10進法という意味です。
*2 Half Dome RNFをフリー化した人
エイドクライミングも同様で、日本はA1~というシステムを使用していましたが。これは支点の強固さというよりは、ハングの大きさに対して付加されていました。日本の場合初登以外は残地ピン使用していたからです。アメリカ等のエイドクライミングは普通人工登攀とは支点をセットして回収することが普通なので、ルーフの大きさではなくというよりも、プロテクションのセットの困難さ、効き具合でレイティングれています。
■ エイドクライミング
エイドクライミングのグレーディングはフリークライミングとは違いclosed-end(上限あり)です。このグレードはプロテクションのセットの困難さや、プロテクションの質に対してレイティングされています。
グレードはA0~A5とC0からC5までです。
"A"は"aid"を意味し、ピトン、ボルト、チョック類を使用します。"C"は"clean"を意味し、岩を傷つけないチョックやSLCD等でのぼる事です。
エイドクライミングではピトンのセット&回収はクラックの幅を広げることになり、ルート自体が段々優しくなる傾向になります。また下向きのクラックや極細、極太のクラックにもセット可能なSLCDが開発されたおかげで、より一層グレードは下がります。
A0 or C0:残地ピンを使用して登る。
A1 or C1:セットが簡単。ほとんど全てのプロテクションが墜落に耐えられる。掴みながら登ることは"French Free"と言われることもある。
A2 or C2:まあまあプロテクションのセットが良い。でも注意を要する。良いプロテクションの間に2~3個の悪いプロテクションがある。
A3 or C3:難しいエイド。1ピッチリードするのに数時間かかることもある。重大な怪我をしない程度で18~24m位の墜落の可能性がある。
各プロテクションのセットには効き具合をしっかりテストする必要がある。
A4 or C4:深刻なエイド。24-30mの墜落の可能性があり、下地も悪い。プロテクションは墜落に耐えられず、自分の体重のみしか耐えられない。
A5 or C5:1ピッチ中にプロテクションは自分の体重のみしか耐えられないものしか得られない。ボルトのようなしっかりしたプロテクションはない。リーダーが墜落すると90mくらいの墜落の可能性がある。すわなりプロテクションが全てはずれる。落下係数2に近い。
各数字の間に"+"記号がありますが、ここでは記述ずるのをやめます。ちなみA5+はビレイ点が悪く、墜落は全てがはずれグランドフォールする。
ということです。
いうことで日本のエイドとアメリカのエイドのグレーディングは同じAnですが意味が少し違います。日本だと残地ピンを握ってホールド代わりにするのは全てA0といいましたが、アメリカの場合は残地をつかむ場合はA0、自分でセットしたものをつかむ場合はA1となるんですね。
また日本の古いボルト連打のエイドルートをアメリカのグレードに置き換えると、A0となりますが、怪しいボルトが多いのでA2に近いですね。ということはA02とするか?
次はボルダリングのグレード、昔々ボルダリングの神様John Gillと言う人が作りました。
B1:ハイレベルのクライミングが要求される。YDSのムーブにすると、5.12-13くらい。
B2:その時代の最高難度のクライミングのムーブがでてくる。
B3:たった1回しか登られていないボルダー。2登されるとB2に下がる。
と非常にシンプルな分類です。これはたしか1970年代に定義されたと思います。
しかしながらこれではあまりにもおおざっぱなのでJohn shermanと言う人がopen-endのV-scaleシステムを提唱し、アメリカではこれが定着しています。
(参考文献 Montaineering)
ちなみにあの有名なMidnight Lightingは1984年ではB2(現在はV8だったけな)です。
初登はRon Kauk、後はJohn Bacher、Skip Guerin、Kart Smithの順です。
ナチュラルプロテクションという名称について
本当は違う?
よくナチュラルプロテクションという言葉を聞きますが、どうも間違って使用されています。日本でナチュラルプロテクションというと、チョックやSLCDを使用する事を意味しているつもりですが、本来ナチュラルプロテクションとはこの意味とうり自然のもの、すなわち草木や岩をプロテクションとして使用する事を意味します。整理すると
・ナチュラルプロテクション:自然物(草木、岩)
・フィックドプロテクション:ボルト、ピトン
・リムーバルプロテクション:大きく2つに分けられます。
Pasive Removal Protection:可動部分がない(ストッパー、ヘキセントリック、トライカム等色々)ナッツとかストッパーとか呼ばれている
くさび型をした1つの金属の固まりですね。
Active Removal Protection:可動部分があるもの。SLCDs(Spring-Loaded Camming Devices) FriendsやAriens、Camalots等。
SLW(Spring-Loaded Wedges)、Removal Boltというのもあります。
と分類されます。
ちなみFriendsを発明したのは Ray Jardineです。
ノットについて
本当は違う?
クライミング用語、登山用語はそのほとんどが外来語で,,色々な言語が入り込んで混乱してますね。私はなるべく英語を元に使用するよにしてます。なぜなら文献を読みやすいから。日本語で他言語をカタカナで言うこと自体誤解が生じますが、まあラジオやテレビといったように日本語として使用すればいいかと思います。そこで名称が色々あるものについて整理してみると
まず前提として下記があります。
■ 修飾用語
結びを修飾する言葉。
Bend:1本のロープや、2つのロープを繋ぐ。例 Ring Bend
Hitch:ものに対して結ぶ。例 Girth Hitch
Knot:1つのロープにできる結び目 例 Slip Knot
他にもDressedやTurn とか色々あります。ただ厳密には付けられてはいないよう。
■パーツの名称
単純にロープのパーツをいうと、両端とその間です。より深めると、
Bight:ロープの途中を折った時にできるもの。
Loop:ロープをクロスしたりしてできる輪
Standing Part:Knotsを作った部分の反対の残りの部分
Tail:ロープの末端でKnotsを作った時の、末端までのあまりの部分。
Woking End:Knotsを作る時に持った側の部分
そして結びについて
■ Bowline・ボウライン(ボウリン)・もやい結び:
結びの基本ですね。Yosemite Bowlineというのもあります。ブ-リンという言い方はさすがに間違えでは?これはもう日本語ですね。
■ Figure-eight
クライミングでは多用され、これもボウラインと同様基本ですね。メリットとして、
(1) 結びが正しくできているかどうかがわかりやすい。
(2) 勝手に解けにくい。(ただしロウプ連結でのダブルスランドフィギュアエイトは例外です)
(3) 末端が15cm位以上出ていれば末端処理はなくてもいい。
(4) 色々な事に使える。
使い方は先のパーツの修飾を入れて、
ロープの途中に作るときは:Figure-eight on a Bight
ハーネスとロープを結ぶ時は:Figure-eight follow-through
Figure-eightをもう一回捻るとFigure-nineとなります。(これは本当)
■Figure-nine
以前ガイド仲間で色々な結びを試していた 時、Figure-eight をもう一回ひねりを入れればFigure-nineになると呼んでいましたが、本当にありました。本に載っていました。堅固でFigure-eightより解き易いが、結びが一見複雑という欠点があります。
じゃあもう一度捻ったらFigure-tenか?
■ ロウプの連結について(重要)
ロウプの連結は昔からある、ダブルフィシャーマンやフィギュアエイトノット・ダブルフィシャーマンフィニッシュは強度も十分あり問題ないのですが、作成、解除に時間がかかります。一時期ダブルストランド・フィギュアエイトノットが流行りましたが、現在はダブルストランド・オーバーハンドノットがUIAAにて推奨しています。エイトノットは回転して解けやすいので懸垂下降時のロウプの連結として使用しないほうがいいです。オーバーハンドノットはEuropean Death Knot(EDK)とも呼ばれますが、懸垂下降ではこちらが便利です。
もちろんどんな結びにしろしっかり絞める事が重要です。ロウプが濡れた場合や凍った時は強度が落ちるので、ダブルストランド・オーバーハンドノット・オーバーハンドノットフィニッシュ(要はオーバーハンドノットを二つ作る)がいいです。
このダブルストランド・オーバーハンドノットがいいというのは懸垂下降等の200kg程度荷重の連結であって、救助等の張り込みや2人以上もぶら下がるときは、安全率の高い結び(ダブルフィシャーマンやフィギュアエイトノット・ダブルフィシャーマンフィニッシュ)が必要です。
左:ダブルストランド・オーバーハンドノット 右: フィギュアエイトノット・ダブルフィシャーマンフィニッシュ
ダブルストランド・フィギュアエイトノット これはやめたほうが無難
■ Munter Hitch・Itarian Hitch:
アメリカでこれを普及させたMunterという人にちなんで、Munter Hitchとも言われているが、元々はドイツ人が発明したもの。1974年イタリアでのUIAAの会議にて紹介されItarian Hitchとも言われます。HMSカラビナとはドイツ語のHalbmastwurfsicherungからきたもので半マスト結びという風に翻訳はできるが、ハーフ・クローブ・ヒッチという英語は無いです。(ところが一回だけイギリスの本で記述を見ました)
"close Munter"はセカンドのビレイ等で使用される時、ロープが同じ方向にある時で2.5kN位。
"open Munter"は懸垂下降時等に使用される、ロープが違いの方向にでる時で、1.4kN位。
Mule Knotと組み合わせると、Munter Mule Knotっていうけど、Itarian Mule Knot ってなぜ言わないのでしょうね。
消防の方は「のの字」といいます。
日本語では「みのむんたーひっち」といいます(T山ガイド協会 T賀谷氏命名)
英語発音に近いカタカナで書くことが正しい名称とは言いませんが、なんとなんくそうしたいですよね。
ノットについて その2
ちょっと気になる。書いたほうがいいなと思ったことをいくつか。
■ 末端処理
ハーネスにロウプを結ぶ場合は8字結び(Figure Eight Tie-in)がお勧めですが、この末端処理によくオーバーハンドノット(Overhand Knot)を使っている人がいますが、これはすぐ解けるのでやめましょう。推奨はグレープバイン(Grapevine Knot ぶどうのつる)です。これはダブルフィシャーマンズノット(Double Fisherman's Knot)と同じ結びなのですが、使い方によって呼び方が違うみたいです。ロウプの結束時はダブルフィシャーマンズノットといい、末端処理等につかうとグレープバインと呼んでいるみたいです。
×オーバーハンドノットでの末端処理はすぐ解けるからだめ×
グレープバインで末端処理
絞めた後
■ タイオフ
例えば木や草にランナーを取る時はガースヒッチ(Girth Hitch))を使いますよね。この時支点が上を向いていて横方向に加重がかかるなら問題ないですが、この支点の向きと加重方向が近いときはガースヒッチの後にハーフヒッチ(Half Hitch)を1回以上作れば滑りが減少されます。
ちなみにハーフヒッチをふたつ作るとツーハーフヒッチ(Two Half Hitches)となりますが、これってクローブヒッチ(Clove Hitch)になるんだよなあい。でもって日本のG馬県ではハーフヒッチのことを"いわし"と呼んでます。なぜか理由は知りません。
(左)ガースヒッチ (右)ガースヒッチ+ハーフヒッチを二つ
ということはガースヒッチ+ツーハーフヒッチになるのかな。じゃあ3つハーフヒッチをしたらスリーハーフヒッッチなんでしょうね。
日本語だと "ひばり結び+いわし2つ" です。此方のほうがいいなあ。
(右)ハーフヒッチ (左)ツーハーフヒッチ
■ 仮固定
ハーフヒッチはわかりましたか? ではもう1題。仮固定でもよく混在してます。
(左)ムンターミュールノット(Munter Mule Knot) (右)中抜き
我々は 中抜きとか呼んでましたけど、関西のノリさん説によるとムンターヒッチ+ハーフヒッチ になるだろうということです。英語の本での解説はみたことないです。
なんて薀蓄を書いてますが、名称なんて最初から知らなければ問題ないんです。全く気にしなければいいだけ。ただレスキュー技術とか、講習・技術を教える人がちゃんと知らないことは少々まずいかなあ。でも登らない・登れないでこういったロウプ技のみ追及するレスキューお宅は論外。レスキューは応急処置と体力です。
フリクションヒッチについて
マッシャーやプルージック等の結びの名称はフリクションヒッチと言います。フランスではオウトブロカントと言うみたい、これにはタイブロック、ロウプマンのような器具も含むそうです。意味は自動ロックとなりますね。
■ PRUSIK HITCH
プルージックと呼んでいますね。ロックしやすいので最近は他のヒッチに出番を奪われつつありますが、やはり片手でセットできるということで、基本ですね。発明者は1918年頃にDr.Karl Prusik さんだそうです。ある本に結び目をフリクション側に入れるのはブリッジと書いてありましたが、この名称はどこからきたのだろう。
■ マッシャー
アメリカの本ではAutoblock(オウトブロック)と呼んでいますが、フランスの本ではmachardと書いてあるのでマッシャーと呼ばれ、今日本でも両方使用されています。私もマッシャーと呼んでいましたが、日本では外来語をカタカナで読むしかなく、文献が読みやすい英語圏の呼び方を使用した方がいいかなと思ってます。でないとムンターヒッチもデミ・カベスタン(仏 demi-cabestan)とか呼ばなくてはならず、整合性がとれなくなるからです。ちなみに英語の本でも Demi-capstan とありました。これは意味を仏語から英語にあてはめた例ですね。
でもって。日本のある本では巻き付け結びとか書いてあるのをみたことがあるけど、これはいまいち。だってみんな巻き付けだもの。
また外来語をカタカナで呼ぶことに関していくつか問題があります。
(1) Autoblockもオートブロックか、オウトブロックか。フィックスロープではなく、フィックドロープが正しいという人もいます。このばあい、確かにFixed ropeなのですが、すでに多くの人に使われている時は、日本語として理解した方がいいという場合もあります。無理に直すよりは。だから皆に広く使われる前に、早いとこ正しい名称を広めた方がいいでしょうね。ほかの例としてロワーダウンはロワーリングです。
(2)英語の例を挙げると、RとL、W、Vをどのようにカタカナにするか。ウかウォかボかヴォか。sを最後に付けるかといった問題もあると思います。
(3) 結びの場所、方法によって名称におまけが付く
ハーネスに8字で接続することは Figure-eight follow-throughでロープの途中に作ることはFigure-eight on a bightとなるんですよ。
(4) 段々言葉が変化したり、すでに多くの人が使用しているもの
ブーリン(これも日本語化してしまった)はボウラインまたはボウリン
テープシュリンゲ(英語+ドイツ語)はウェビング
いや~大変。
■ クレムハイスト(klemheist)
クレムハイスト。フレンチ・プルージックとも呼ばれています。オウトブロックよりよく効きますが、効き過ぎることがあるので注意。
■ トレス(tress))
ウェビングでフリクションヒッチをする時に適した結びです。かなリ回数を巻かないと滑ります。
MAMMUTの8mmダイニーマウェビングはコードやウェビング両方として使用できすぐれものです。
■ バルトタン、ポロネ
英語の本では見たことがありませんので、英語圏では何て呼ぶのか・・・・・・
あまり一般的ではないが、ガイドとしては知ったいたほうがいいです。普通の人には必要ないですね。
■バックマン(Bachman hitch)
私はあまり使用しないですが、アメリカの本には良く載っていますね。カラビナを1枚使用してしまうのが欠点。
あまりに荷重がかかりすぎると滑ります。
T山ガイド協会のT賀谷さんが好んで使用しています。
クラシック用語について
アルパインルートのトポをみていて、意味のわからない単語や、意味も考えずに使用したりしていませんか。日本の登山用語はその時代に影響受けた国の用語が使われていて、現在は同じ意味なのに違う言語で使用されているものがあります
■ アレート arete (仏)
やせた尾根。カンテ kante(独)、ridgess(英) リッジ、spurs( 英)と同じ気がします。劔岳本峰南壁のA1~A4はこのareteの意味です。
■ ガリー gully(英) クーロアール couloir(仏) ルンゼ runze(独)
意味はほとんど同じ意味だと思うんだけど。意味は皆、急な岩溝。
池ノ谷ガリー(劔岳)、インディアンクーロアール(劔岳)、中央リンネ (明神岳)と
ちなみリンネ rinne(独)もほとんど同じ意味で使用されている。
米の本ではガリーがV字状、クーロアールがU字状と説明してました。
■ カミン kamin(独) チムニー Chimney(英) )
前穂高岳北壁松高カミンが有名です。ちなみにエグレス egress(英)はチムニーの出口だということです。
「カミンのエグレスできょんを決めた」なんて凄すぎます。
■ アンカレッジ Anchorage(英)
自己確保をするに適した岩棚。停泊地。アラスカのアンカレッジはこの意味ですね。クックが立ち寄ったところから名付けられました。
■ シュリンゲschlinge(独)
ロープやテープの小さい輪のことです。昔の人は皆シュリンゲと言っていました。ロープで作成したものはコード cord (英)、テープはウェッビング webbing(英)。これで輪を作るとランナーrunner (英)です。
■ ツルム turm(独) チンネ Zinne(独) ニードルneedle(英) ピナクル pinaacle(仏)
ツルム、チンネ、ピナクルが岩峰、ニードルが針峰
滝谷第四尾根ツルム、劔岳クレオパトラニードル等が有名ですね。槍ヶ岳の大槍はツルム? 小槍はピナクル?。
■ ランクルフト rantkluft(独)
雪渓と山の側面との間にできた隙間
■リッペ rippe(独)
助骨の意味。岩場に派生した岩稜。 フランケ flanke(独)は尾根の側壁。北岳バットレスフランケがそう。
■ インゼル insel(独)
雪渓上や沢筋に現れた島状のような岩。劔長治郎谷の熊の岩もインゼルといえると思います。
■ カールボーデン kahlboden (独)
カール状の傾斜地。幽ノ沢が有名ですね。cirque、bowl(英)
■ 峠
cols、Saddles、passes
まだまだ続きますが、日本の岩場での名称、クライミング用語は昔ほとんどドイツ語で付けられているのに気づかれたでしょうか。
ピッケル、アイゼンは英語ではアックス、クランポン、日本語では、鉄斧、鋲靴?。
アプザイレン abseilen、アンザイレンanseilen、 ジッヘルscherも皆ドイツ語。順番に懸垂下降、ロープを結ぶこと、確保の意味です。
これにザイル、 シュリンゲ、ゼルプスト(日本語では紐、紐輪、安全帯)を使えこなせば、あなたも超クラシッククライマーの仲間入りです。
セルフブロッキングについて
セカンドにビレイに何を使っています。まさか、ATC等のアパーチャータイプのデバイスを使っていないでしょうね。いまだにこれをグリップビレイのように使っている人や、ボディからビレイ点に折り返して使用している人がいますが、これらは×ですね。セカンドが2人いた時、1方をロックし、1方をあげることができません。また前者はまず止められません。後者はロープが重いです。どちらにしても、支点ビレイでロックできることが必要です。だって水が飲めるし、写真も撮れる・・・・・・・・・
■ ジジ、ルベルソ
ジジとATCの組み合わせの方が好きです。ジジの方がセットし易いからです。ルベルソはいまいちセットしづらいです。
ルベルソはテンションがかかった時に緩める事がやっかいだったのですが、効果的な解除方法を発見しました。なぜ今まで気づかなかったのだろうかという方法です。発想の転換ですね。これは講習会でお教えしましょうね。
■ガールダ
これも一応カラビナセルフブロッキングの基本ですね。
■ ロレンツェ、ビエンテ
ロレンツェはグリップより、ロープをロックできるから良い。ビエンテはガールダよりロック時の解放が楽。グリップよりはロレンツェの方が仮に荷重がかかった時、楽なので結構使うんだけど、2005年春シャモニに行った時、最近はあまり使われないと言われました。
続く
冬山について色々
アルパインルートの
■ゲレンデでのクランポントレーニングについて
私の講習ではこのトレーニングをしません。自分自身は昔やったことがありますが、しっかり(フリー)クライミングをやっていれば、必要ないでしょう。アイゼン・手袋でも基本はフリークライミングです。勿論特有の足使い(前爪にしっかり立つ。 JAGU K村ガイドの得意技 正対師)がありますので、初めてアイゼンを履いて岩を登る予定の人には、体験する事はいいかもしれません。ですから全く否定はしないですが、折角ならその時間を使ってクライミングをするか、実際に冬山で岩を登った方がいいと思います。
■ アックスの持ち方
たぶん日本で多くの人は、アックスは登行時にはピックが前、下降時にはピックが後と教わっていると思います。しかしこれが正解ということではありません。常にピックが前、または常にピックが後ろ、というスタイルもあります。ピックが前の場合は Self- beley、 ピックが後ろの場合はSelf-arrest と呼んでいます。
後者は登下降時で滑った時にすぐ滑落停止スタイルに入ることができるとして、常にこのスタイルがいいという人もいます。
私は登行時は Self- beley、下降時は Self-arrestスタイルです。教える時もこのようにしています。何故って?滑った時や補助用にすぐピックを雪に刺せ、色々試した結果一番いいと思うからです。
もちろん雪上歩行は滑落しない事が一番重要ですが、やはりミスがあります。もし滑落した場合でも、雪がすこしでも柔らかい場合滑落停止によって止ることもできます。事実そういった例を何件も見ています。ということで少しでも可能性があるので、滑落停止の技術は必要と思います。
■手袋
昔のスタイルは毛の手袋+オーバーグローブやオーバーミトンが主流でしたが、現在は新素材のおかげで手袋が格段に良くなりました。クライミング主体の場合はインナー一体型の手袋1枚がいいです。勿論これだと大寒波がきた八ヶ岳や厳冬期の北アルプスでは寒いです。ロープや岩を扱うので、指、パームが革で補強してあるものがお勧め。
テクニカルクライミング、標高の低いエリアや12月や3月頃用にあまりインナーが厚くないもの、少し中厚のものが各1つ以上あればいいですね。1枚なのでこれをしたまま全ての作業ができなくてはいけません。
■靴選び
従来山靴は踵に指1本入るようにというでしたが、これは歩行用が主であって、主にアイスクライミングに使用する場合は指半分がいいでしょうね。中で足が動くなんて論外です。店員の方がクライミングあまりやっていないお店で道具を購入する場合はこの靴、アックス、手袋選びで大きな差が出ます。
■ アックスとクランポンのコンビネーション技術
アックスで6種類、クランポンで6種類あり、その組み合わせで登行、登攀しますが、その全ての組み合わせができる訳ではありません。
以下解説すると。
■ クランポン技術
・普通の歩き:すこし股を開くのがコツですね。
・ダックウォーク:いわゆるがに股、逆八の字
・フラットフッティング:普段皆が使っているやつだけど、足向きが傾斜により変化しますね。
・レストポジション:おもに下降時です。
・スリーオクロックまたはナインオクロック:
・フロントポインテング:別名ジャーマンテクニックと呼ぶそうです。
■ アックス技術
・ケインポジジョン: 杖持ち。Self- beleyと Self-arrest。この項の最初を参照。
・クロスボディポジション:これ結構有効です。私はよくストックで使います。
・アンカーポジション:日本では草付きに有効。
・ロウダガー:知っていますよね。
・ハイダガー:〃
・トラクションポジション:日本ではダブルアックスですね。
まあ名称はいいとしても、皆さんいくつ知ってますか。ほとんど普段何気なく使っていると思います。まあ理屈っぽくなりますが、
ガイドはこれを説明しなければいけないので、こう言葉にして説明します。
分からない人は講習へどうぞ・・・・・・・・・・・・・
アックスの各部の名称
結構正しく言えないでしょう? このアックスは私が初めて購入したアックス、シャルレ・ガバルー、名品です。
昔はこれで氷を登っていたんですよ。20年ほど前に山梨の千波の滝もこれでフリーで登っているんですよ。
重いけど非常に気に入って今でも使ってます。
強度について
アルパインルートのトポをみていて、意味のわからない単語や、意味も考えずに使用したりしていませんか。日本の登山用語はその時代に影響受けた国の用語が使われていて、現在は同じ意味なのに違う言語で使用されているものがあります
強度について
■ リングボルト
リングボルトの強度は非常に弱いということが常識でしたが、ある実験から、時により思った以上に強いという結果がでました。もちろん実験数が少ないのでこれはあくまでもある一例です。
新たに花崗岩にきっちりと打ったリングボルトにカラビナをかけて引き抜き方向に引っ張っても1000Kgでも切れませんでした。(Fig1) また逆に横方向に引っ張った場合は約1000Kgでリングが破断しました。(Fig2)
引き抜き方向の方が弱いと思っていたのですが、逆に横に引いた方が弱いのですね。もちろんこれは岩が硬い花崗岩ということと、横方向だと違う作用が発生するんでしょうね。
(左)Fig1 (右)Fig2
■ 連結
テープ、ロープの連結についても色々行ったのですが、バタフライノットが非常に優れていると言う結果が出ました。これは強い ! 結びというものは、その結びの中での折れや、摩擦で強度が落ちるのですが、バタフライノットはダントツで強かったですが、この結びは間違えやすいというでメジャーにはなれないんです。
■ デイジーチェーン
これは元々はエイド・クライミングでエイダーと体をつなぐもののはずだが、現在はセルフビレイに便利なツールとして使用されています。道具は当初の使用目的以外でも、便利であれば他の使い方があってもいいと思います。もちろんメーカーの保障外のケースもあるけど。ただデイジーチェーンがないとセルフビレイが出来ないものと思ってしまうことがよくないですね。たしかにあれば便利ですが、メインロープでセルフビレイをするのが基本です。良く山のクライミングルートに行くと、岩稜の歩きルートなのにつけている人がいる。基本はメインロウプです。またガイドでも常につけている人がいるけど、格好悪いな。
使い方の注意点はまずこれで落ちないこと、伸びがないので、1m上がったところから落ちたら(2mの墜落ですね)、支点へは約700kgf、墜落者へ約400kgfの衝撃がかかります。伸びがないから凄い衝撃です。バータックも簡単に切れます。あとメトリウスのエージーデイジーでは絶対に墜落しないこと。強度がたった130kgしかありません。落ちたら切れます。もちろんメーカーの注意書きはぶら下がることのみと書かれています。
■ グリグリ
以前 「Runout」というクライミングマニア誌を作ってました。結構間違えも多かったけど、いい雑誌でした。そこでソロデバイス特集をやったのだけど、その時はグリグリのソロクライミング使用バーションは書けませんでした。だって改造使用だから。知り合いのあるガイドはゲレンデに一人でいって、フリールートをこれで5.11まで登っていました。私の数回真似してました。これは仕組み的にはWREN のソロイストと同じで、どうもソロイストが先に開発されてこれをまねしたみたい。ソロイストの販売会社は最初はThe Rock Exotica という会社が出していて、現在はWREN INDUSTRIESという会社です。
これは書き途中です。
続く
名称・ルート名について
アルパインルートのトポをみていて、意味のわからない単語や、意味も考えずに使用したりしていませんか。日本の登山用語はその時代に影響受けた国の用語が使われていて、現在は同じ意味なのに違う言語で使用されているものがあります
山の特定エリアの名称やルート名はいくつかのパタンがあります。
例を挙げると、
■最初にそこを登った人の人の名前は
源治郎尾根、平蔵谷、長次郎谷等
■形状や憧れ
チンネ、グレポン、ドリュ状岩壁、コップ状岩壁、烏帽子岩
鎌尾根、小同心クラック、ラ・ローズ・エル・穴男、小川山レイバック
■その位置から
主稜北尾根、東尾根、右岩壁
■ 初登したチームの名称
神奈川ルート、雲稜ルート
■ その時流行った曲名や格好いい曲名
Eternal Frame、Wild Wild West、All along Wach Tower, Astroman、Born Under Bad Sign
Free Rider
日本では幕岩にビートルズに曲名多し。
私の開拓したフリーのルートはほとんど曲名で統一してます。例をあげると
Get It On(5.11c)
Staiway to Heaven(5.12b)
Jorker(5.12c)
Electric Lady Land(5.9)
Voodoo Child(5.10b)
Stone Free(5.11b)
China Girl(5.12a)
19(5.11b)
Room 335(5.10だったけな~。今はない)
Cross Road(5.10c)
全部すぐ分かる人はいないでしょうね。
毎年1本位はフリー化またはフリールートを作る予定。
以下はおまけ
■ TACO(城が崎)
言わずと知れた城が崎にある5.12のクラック。ルート名はあの海にいるタコと思われていますが、これは全く違います。当時TACO(当時はやったテクノ系)というミュージシャンがいて、初登者のH氏がこれを聞いていて、この名前をつけたのです。
■ 蜘蛛の陣十郎(小川山)
小川山の屋根岩Ⅱ峰の蜘蛛の糸に右にあるフェースです。この名前は、当時「蜘蛛の陣十郎」というビルの壁を登って盗みにはいるという泥棒がつかまって、話題になったのでつけられました。
■ シンデレラボーイ(城が崎)
核心のひとつのムーブに、10cmくらいの隙間に足を突っ込んで登るというムーブがありました。当時はまだスリッパ系の靴がなく、メガという硬い靴で登っていた為、この穴に足がうまくフックできなかったので。ここで靴を脱ぎ捨てて登ったからです。もちろんそこまでの到達するのに両足履くひつようがあったからです。
■ コロッサス(城が崎)
LAにあるマジック・マウンテンという遊園地に当時最大の木製ロ-ラーコースターがありそれをコロッサスといいました。このルートで落ちると、そのローラーコースターのようなイメージなので、この名称が付けられました。
■ パンピング・アイアンⅠ、Ⅱ(城が崎)
丁度クラックからボルトプロテクトのかぶったフェースへ移行していた頃で、クラックとは違うパタンで、腕が思いっきりパンプするのでつけられた。
■ サーカス(城が崎)
当時珍しいクロスムーブをしなければ登れず、まだ珍しかったので。ちなみサザンクロスはクロスムーブがあったから。単純。
■ 六百山
昔木を六百石も切り出したからと聞きました。
■ アルプス1万尺
ホテル
1尺=(約30.3cm)で小槍の上は約3000mだから1万尺ですね。五千尺ホテルも標高約1500mあたりにあるかららしい。
続く
日本の山ルートについて
アルパインルートのトポをみていて、意味のわからない単語や、意味も考えずに使用したりしていませんか。日本の登山用語はその時代に影響受けた国の用語が使われていて、現在は同じ意味なのに違う言語で使用されているものがあります
日本の山ルートについて
以前から「日本の夏壁はアルパインではない」という考えがありました。小川山・瑞牆山等のクライミングと、剣や穂高でのクライミングとではかなり違いがあるので、表現する上で便利なので使っていました。でもよくよく考えてみると、アルパインと言う意味は、ヒマラヤ等の極地法に対して、下から一気に登ってしまうスタイルのことでしたよね。それは日帰りでも途中で何泊してでも同じですね。そしてルート上に雪、岩、氷といろいろな要素があるのが条件だと思います。アメリカの山奥の壁を表現するのにアルパインと表現するのは聞いたことがありません。ただのクライミングです。
ということで日本の夏壁はアルパインではない と言おう!
雪がない箇所でのクライミングはすべてロッククライミングです。でも先に述べたように、北アルプスと瑞牆では条件が違いすぎますね。この辺りの表現を何とかしたいですね。本ちゃん(本番)という言葉もなんか、山でのクライミングが本物という変なイメージができてよろしくない。だって、山のルートは簡単すぎる。良く落ちてはいけないクライミングというけど、夏は落ちないでしょ(言いすぎか)。それにフリークライミングだっていつでも、どこでも落ちて良い訳ではありませね。落ちたら危険な場所や、ルートはたくさんあります。そういうことを言う人はたぶんそういうルートを登ったことがない人でしょう。
ということで案1
ロッククライミング:岩を登ること。フリー、エイドがある。スポートクライミングもあり。
アルパインクライミング:ロッククライミングを雪・岩・氷のある場所で行うこと。
案2 いまいち
クラシック・クライミング:山でのクライミング。今後穂高や谷川に新ルートが開かれてもクラシックと呼ぶかは疑問。
トラッド(クラック)クライミング:クラック登り。
スポート・クライミング:ボルトルート
エイド・クライミング
■ 支点整備について
最近山のルート整備とかでやたらビレイ点をいいボルトを打う動きがあるけどちょっと待ってくれ、なんでボルトを打つ必要があるんだ。海外の山のルートとかで気づいたのは下降ルートの支点はチョック、ハーケン、スリングチョッ
ク、岩角にスリングでボルトなし。がおおく、下降ルートは岩にひっかからないように直線的にしており、別に登攀
ルートを降りる必要性がない。なので登攀ルートもそこが下降に使用していなければ、なにも残置なし。現在の支点整備の動きがあるけど、これは逆行で、支点を全てを取ってしまった方がいいと思う。そして下降ラインを少ない支点で降りれる箇所に設定したほうがいい。何もすべてのルートのビレー点を整備する必要はないですね。壁全体でいくつかの下降ラインさえあれば、他は本当に必要ないものです。でもって、しっかりした支点であればボルトの必要ないです。どの場所からでも、しっかりした降りられる、というのはまさにクライミングの退行です。ピッチの区切りも残置ハンターにならずにすむし。自分で考えるクライミングができます。なんでトポに従ってとおりに皆ピッチをきるのだろう。創造性がないなあ。例えば錫杖の注文の多い料理店等は
3ピッチでいけます。やはりレッジ2レッジで行きたいですね。
■ おまけ 山壁での登攀
よく最初から、山ではなんでもあり、A0でいいよというクライマーいますが、これは絶対おかしい。山ルートは昔から登山靴でも五級まではフリーで登られています。幕営道具一式持って登るわけじゃなし、今日の軽量化された道具、クライミングシューズを履いたら、まずはフリーで登れる力がついてから行くべきです。実際にその場に行って無理なら、何でもありとなってしまいますが。最初からの心構えが違います。このような考えが連打のルートを作ってしまいがちです。まず登れる力、敗退できる技術ができてから行くべきでしょう。そしてちゃんと登れるガイドと行きましょうね。
山でのマナー
ガイドになると良く山小屋にとまりますが、いつも気になることを書きます
■ 鈴、ラジオ
人が多くいるエリアでは絶対やめて欲しい。非常に耳障り。本州の山でまず必要ないでしょう。
■ スーパー袋
防水性があると勘違いされてませんか。まずカシャカシャうるさい。それにみな同じ色なので、どこに何が入っているかわからないでの探し、余計にカシャカシャする。防水性のあるスタッフサックを大中小と最低3つくらい購入し、それを使えば、色でなにが入っているかすぐわかるし、音も静かです。
■ ペットボトルをザックの横につける
ハイキング等はいいですが、劔とか岩の多いエリアでの登山の場合、ボトルが岩にぶつかり体のバランスが崩れ危ないです。落とす可能性もあります。体にずず、コップ、ペットボトル、ウエストポーチ、カメラとつけている人がいますが、邪魔じゃないのか?
■ アイゼンを小屋の玄関で履く
玄関が傷むし、混みます。
これらって「山と警告(渓谷)」等で喚起するとか、小屋の人に注意して欲しいなあ~。
タバコは最近は携帯灰皿が結構普及してきましたね。でもなんで年配の人は昔からの習慣なのか、所かまわず吸いますねえ。ちょっとは場所を考えて欲しいなあ。本人はおいしくても、吸わない人は気分を害するんだよね~。